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育ててくれた地元への恩返し~広がるプロ野球県人会の活動
選手の活動

育ててくれた地元への恩返し~広がるプロ野球県人会の活動

シーズン終了後、球団行事やメディア出演などが一段落すると、年明けから始まる自主トレまでの束の間、プロ野球選手たちも短い正月休みをとって帰省する。その帰省先で、特にプロ野球球団のない地域で最近よく見られるのが“県人会”の活動だ。

成功事例の一つとして挙げられるのが、2017年に発足した「プロ野球静岡県人会」だ。地元への恩返しとして野球を通じた地域活性を行うべく、静岡県ゆかりの選手(県出身で発足年以降に現役でプレーした選手)が毎年12月29日に集結し、県内の子どもを対象とした野球教室を開催。メンバーには、侍ジャパンに選出されたこともあるオリックス・バファローズの増井浩俊選手や、阪神タイガースの左腕コンビ岩崎優選手・髙橋遥人選手、埼玉西武ライオンズで“ポスト秋山翔吾”として期待される鈴木将平選手など、様々な世代の人気選手たちが10名ほど名を連ねている。

同県人会では単に野球教室を開催するにとどまらず、野球教室後に行うトークショーではチャリティー抽選会も行い、集まった収益でAEDを購入し県や市を通じてスポーツ施設などに届けている。2020年、夏の甲子園中止に伴う県独自の代替大会時には、コロナ感染防止のために水筒使用が禁止される中、ペットボトルのスポーツ飲料1200本を寄贈するなど、地域スポーツのためにこれまで様々なアクションを起こしてきた。

行政や地元企業も、同県人会の活動を全面的にバックアップ。発足時には地元メディアの静岡新聞社とタイアップすることで、その活動や理念はすぐさま県内中に広まった。平時に行う野球教室では、定員が200~250名程度のところ毎年のように500名以上の応募があり、トークショーでは観客が600名を超えることも。全国的にはサッカー王国として知られる同県ではあるものの、野球熱も非常に高いことが伺える。

2020年オフはコロナ禍を受けてオンラインでの野球教室&トークショーとなったが、それでも野球教室にはわずかな枠に応募が殺到、トークショーは県内外から400名近くのファンが視聴する盛況に。2020年のプロ野球ドラフト会議では同県から7名の選手が指名されており、さらなる活動の充実が期待される。

このような県人会の活動は、様々な地域で広がりを見せている。プロ野球沖縄県人会は、静岡県人会を参考に2018年より活動をスタートさせた。中心となっているのは、発起人でもある中日ドラゴンズの又吉克樹選手だ。初年度こそ一人での参加だったものの、毎年のように仲間が増え、2020年オフは横浜DeNAベイスターズの神里和毅選手、オリックス・バファローズの大城滉二選手ら6名がオンラインイベントに集結。こちらも琉球放送や地元企業などのバックアップを受けて、継続的な活動を実現している。

JリーグやBリーグなど、他のプロスポーツが各県にチームを持つ一方で、プロ野球はほとんどが「プロチームを持たない府県」となる。そんな中でいかに全国的な野球人気を維持・向上させるかを考えた時、最も力を発揮できるのは“おらが町のスター”であることは間違いないだろう。静岡や沖縄での成功を受けて、「我が県にもぜひ“プロ野球県人会”を」と言う声が、野球を熱望する地方のファンから聞こえてきそうだ。

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