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構想4年!次世代の日本の活性化を目指すLINK UP~理事として参画する阪神・近本光司選手の決意とは
選手の活動

構想4年!次世代の日本の活性化を目指すLINK UP~理事として参画する阪神・近本光司選手の決意とは

阪神タイガースの近本光司選手が今年4月、「一般社団法人LINK UP」の設立を発表した。この団体は、近本選手の出身地である淡路島や沖永良部島など全国の離島や地方において、内外の人々同士をイベントなどの機会を通じて繋ぐことにより、次世代に多様な選択肢を提案すること、ゆくゆくは日本の各地域を活性化し盛り上げていくことを目的としている。設立から約半年、同団体に理事として参画する近本選手に改めて思いを伺った。

――プロ野球選手が現役のうちに一般社団法人を設立するのは珍しいことですが、いつごろから考えていたのですか?

近本 こんなことをしてみたいというのは、プロ1年目(2019年)からざっくりですが考えていました。でも、プロ2年目でコロナ禍に入ってしまって。一緒にやってくれる仲間を見つけたかったんですけど、なかなか人に会える機会がなかったんです。結局4年間くらい構想を思い描いていましたね。

――そんな中、高校時代の野球部の先輩である石井僚介さんに声をかけたそうで。

近本 ようやくコロナ禍が落ち着いたころ、アメフト選手だった石井さんから引退すると連絡をいただいて。神戸に帰るということだったので、このタイミングだと思い「一緒にやりませんか」と声をかけさせてもらいました。仲間探しは僕の中でとても重要で、確固たる信頼関係を築くためにも、僕が野球選手になる前から知っている、つまり僕に対して“野球選手である”というフィルターのない人間関係の中で見つけたいと思っていたんです。石井さんは昔から知っているし、しっかり対話のできる方だったので適任だと思いました。

一般社団法人LINK UP代表理事の石井僚介さん(左)と近本選手

――実際に一般社団法人を立ち上げてみて、近本選手ご自身にどんな学びがありましたか。

近本 こうやって法人を立ち上げること自体初めてなので、いろんなことを勉強させてもらっています。特に島というのは、その土地ならではの根強い考え方というのがあって、どうしても外とのズレが生じてしまうこともある。だからこそコミュニケーションが大事なんだと、法人を立ち上げてみて改めて感じていますし、人と人の繋がりで盛り上げていかなければと思っています。

――今年の8月末には、淡路島と沖永良部島の子どもたちが球場やテレビ局、スポーツメーカーなどを訪問する「子ども夢応援プロジェクト」を企画されました(台風の影響により急遽中止に)。これはどなたのアイデアだったのですか。

近本 僕がやってみたいなと思ってアイデアを出しました。子どもたちには野球やスポーツだけでなく、音楽や芸術、芸能、伝統などいろんなジャンルのものに触れてもらいたいと思っています。実際に触れてみることで得るものがあると思うので、そのきっかけを作れたらいいなと。兵庫県との共催なのですが、僕たちだけだと人手も足りないので、こういったプロジェクトは自治体の協力があってこそですね。

――そのほかに、何か考えている活動のプランはありますか。

近本 僕は毎年、年末年始に淡路で自主トレをしているのですが、以前は2日間一般公開して約3000人の方が観に来てくださったんです。それだけ人が集まってくれれば、LINK UPに協賛してくださる方々に対しても何かできるんじゃないかなと。淡路に足を運んでいただいて、お金を使っていただく、そんな機会を活用して何か還元できることを一緒にやれればと考えています。

――5年後、10年後など少し先の将来、どんな活動ができていたらいいなと思いますか。

近本 活動理念の中で「離島」を掲げていますが、ゆくゆくは日本全体を盛り上げ、継続的に活性化できたらいいなと思っています。また、子どもたちは無限の可能性を秘めているので、その幅をもっと広げてあげられるような取り組みをしていきたいなと。アメリカ、アジア、ヨーロッパ各国いろんなところで様々な経験をしてもらって、各国のいいところをどう日本に落とし込めるか、そんなことを考えられる子どもが一人でも多く出てきてくれたら嬉しいので、その“ハブ”として僕らがいるというのが理想的な将来像です。

――法人を設立して、ファンやまわりの方々の反応はいかがでしたか。

近本 僕自身は皆さんの反応をそこまで追いかけられていないんですけど、SNSに強い石井さんや事務局の方がファンの方々のコメントをしっかり見てくれて、ほとんどが好意的なリアクションだったと聞いています。ただ一方で、現役をやりながら法人を立ち上げることには批判的な意見もあると僕自身も理解しています。もちろん野球に集中することも大事ではあるのですが、僕らにはいずれ日本全体を盛り上げていくというビジョンがあるので、そのためにも野球だけやっていてはダメだろうと。とはいえ、皆さんからのいろんな言葉で僕自身が成長できることもあると思うので、ファンの方々の反応はしっかり受け止めていくつもりです。

――LINK UPの立ち上げによって、競技に対しての意識に何か変化はありましたか。

近本 現役選手の影響力というのは当然ながら現役の時だけで、引退するとその影響力はどうしても弱くなってしまいます。僕が「一緒に頑張ろう」と子どもたちに声をかけるなら、自分が現役として頑張っている時のほうが親近感は湧きますよね。現役だからこそ届けられることは、やっぱり多い。だからこそ、僕はできる限り長くプレーしたいと思っています。

(取材・文 岡田真理)

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