昨年のシーズンオフ、横浜DeNAベイスターズの今永昇太選手が認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえを通じ、横浜市内のこども食堂に200万円を寄付した。この度、市内のこども食堂の関係者が横浜スタジアムを訪問し、支援対象となる子どもたちから預かった御礼メッセージと感謝状を今永選手に寄贈した。
現代の日本において7人に1人の子どもが貧困状態――未来を担う子どもたちの安心、安全や健康が担保されていないという現実を知り、「地域の子どもたちのために、プロ野球選手になった自分にできることがあれば」という思いが芽生えたことが、こども食堂の支援を始めるきっかけになったという今永選手。
「こども食堂」とは、子どもが1人でも行ける無料もしくは低額で食事ができる食堂のこと。むすびえによると、2022年度の調査でこども食堂は全国で7,363箇所確認されている。食事だけでなく、食育や防災などのプログラムで文化的な経験を提供するこども食堂もあり、助け合いを目的とした“地域づくりの取り組み”ともいえる。
昨今の経済不況でそのニーズは増えているが、一方で約8割のこども食堂が物価上昇の影響を感じているという。そんな中で、今永選手の寄付は横浜市内約60カ所のこども食堂の食費や配送費用、こども食堂を支援する地域ネットワーク団体のホームページ作成費用に充てられており、支援を必要とする地域の子どもたちの大きな支えとなっている。
今回は今永選手の支援先である多世代地域交流食堂みらころ(戸塚区)、さくら食堂(金沢区)、駒岡丘の上こども食堂(鶴見区)など横浜市内のこども食堂に通う子どもたちからの御礼メッセージが今永選手に届けられ、横浜市駒岡地区センター館長の七田直樹さんからはこども食堂支援への感謝状が贈られた。
子どもたちによる手作りのメッセージボードや御礼のカードを受け取った今永選手は、「この支援を始めてから、今まで以上に一社会人としての責任感が生まれました」と語る。七田さんも、「メッセージにはベイスターズへの応援がたくさん書かれている。今永選手のサポートは子どもたちの心に強く残っているようです」と改めて支援に感謝した。
WBCでの活躍に加え、今シーズンは6月23日時点で5勝をマーク。支援を始める際に語っていた「たくさん勝利に貢献して子どもたちに目指してもらえるような選手になりたい」という思いも見事に実現している。
「我々も社会の一員として生かされていて、決してこちらが一方的に支援しているわけではなく、どこかで僕らも子どもたちに支援してもらっている部分があると思っています。だからこそ、野球をやっている、いないにかかわらず子どもたちのために活動を続けていきたいですし、その中で何かに一生懸命取り組む大切さや夢を追いかけていく楽しさを伝えていければと思います」(今永選手)