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日本プロ野球選手会がひとり親家庭の親子を対象にした「ドリームキャッチ親子野球体験教室」を東大阪市で開催
コラム

日本プロ野球選手会がひとり親家庭の親子を対象にした「ドリームキャッチ親子野球体験教室」を東大阪市で開催

一般社団法人日本プロ野球選手会による「ドリームキャッチ親子野球体験教室」が6月27日、大阪府東大阪市のタツタ電線株式会社体育館で開催された。

 同イベントは2019年に選手会が発表した「選手会ビジョン2019」の中で掲げられている方針の一つ「野球普及・育成環境の整備~子供たちに野球を選んでもらうために~」に基づいてスタートした「ドリームキャッチプロジェクト」の一環として企画された。様々な理由で野球を始められない環境にある子どもたちを少しでも助けたいという選手たちの想いから生まれたものである。

 内容は柔らかいボールとバットを使い、キャッチボールやティー打撃、ミニゲームなどを行うというもの。野球未経験の小学生を対象にまずは野球の楽しさを知ってもらうことが目的だ。

 今回はひとり親交流サークル「エスクル」を運営する一般財団法人ひとり親支援協会が協力団体として参加。同協会の呼びかけもあり、20組の親子が集まった。

 ひとり親家庭を対象にしたイベントを開催した理由について、日本プロ野球選手会事務局長の森忠仁さんはこのように話す。

「元々は野球人口が減っていることもあり、色々なところで増やしていく努力をしていました。その中で選手から“ひとり親家庭を支援できないか”という話がありました。話を聞くと、今までのイベントでは“ひとり親の子どもたちが両親と仲良くやっている子の姿を見るのが辛い”ということもあったそうです。なので、今回はひとり親に限定しようという話になりました。こういうことをやることに関して意義はあると思いますし、どんどん広げていければと思います」

「ひとり親は社会的にマイノリティ」と話すのは、ひとり親支援協会の代表理事を務める今井智洋さん。ひとり親は一人で子育ても仕事もしているため、相談相手がおらず、社会的に孤立してしまうことも多い。こうした現状を解決すべく、今井さんはひとり親家庭向けの交流会などを主催している。今回のイベントも今井さんから選手会に依頼したことがきっかけで実現した。

 今回は講師として、元阪神の亀山努氏と上本博紀氏が参加。自ら手本を示しながら、子どもたちに指導を行った。元プロ野球選手が見せるパフォーマンスレベルの高さに参加者から感嘆の声が漏れる場面も。講師と子どもたちの間に溝は感じられず、すぐに溶け込む姿が印象的だった。講師の二人はイベント後には写真撮影やサインにも応じ、参加者にとって良い思い出となったようだ。

 エスクルの紹介を通じて、7歳の娘・華音さんと参加した仲田倫子さんは次のように感想を語ってくれた。

「ちょうど昨年に娘がソフトボールを始めたんです。友達のお父さんが阪神ファンだったので、この機会にと思って応募しました。楽しそうだったし、私も動く機会が少なかったので、一緒にできて良かったです。凄くありがたいの一言ですね。本当に感謝です」

 今井さんによると、ひとり親は子どもと体を動かす機会が少なく、仲田さんのように今回が久々の機会だった家庭もある。また、父親がいない家庭だと、キャッチボールをする相手もいないことが多いため、「このようにキャッチボールを教えてもらえることは貴重だと思います」と今回の意義について話してくれた。

 野球人口の裾野を広げたい選手会とひとり親家庭の孤立を防ぎたいひとり親支援協会。双方の意向が合致して行われたひとり親家庭限定の「ドリームキャッチ親子野球体験教室」は大成功に終わった。講師の2人も以下のように感想を述べてくれた。

亀山努氏
「今日の対象は野球ができる子じゃなくて、野球に触れ合うというスタイルのイベントです。普段の野球教室とは趣向が違うイベントではありますけど、我々も昔、野球を始めた頃の入り口はこのようなものでした。“楽しいと思って野球を始めたんだな”と久々に思い出させてくれましたね。プレーヤーは野球の魅力をプレーで伝えてくれると思いますし、我々、引退組はプレーヤーとファンの皆さんの間を繋ぐ役割をしたい。お手伝いできることがあれば、今後も協力していきたいと思います」

上本博紀氏
「純粋に楽しかったです。僕も12年間、選手会にはお世話になったので、何かしら恩返しできたらと思います。子どもは純粋で嘘をつかないし、可愛いですね。野球は難しいイメージがあると思いますけど、意外と簡単だったりするので、それがみんなに伝えられて良かったと思います」

野球界の未来のために様々な支援を行っている日本プロ野球選手会。今後の取り組みにも注目だ。

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