オリックス・バファローズ安達了一選手が、公式戦において出場試合数ごとに1万円を積み立て、特定非営利活動法人日本炎症性腸疾患協会に寄付することを発表した。安達選手はプロ入り5年目のシーズン前、潰瘍性大腸炎を発症。同じ病気で苦しむ人たちのために、この支援活動を始めるという。今回は安達選手にその思いを伺った。
――潰瘍性大腸炎を発症されて、最初にどんな思いを抱きましたか。
安達 まさか自分が病気になるなんて思っていなかったし、それも難病指定されているような病気になるなんて、「まさか」という感じでした。それまでは潰瘍性大腸炎のことも知らなかったですしね。でも、なってしまったことは変わらないので、なるべく気持ちを切り替えるように努めました。
――野球ができなくなるかもしれないという不安もあったようですが、どう乗り越えたのですか。
安達 やはり、まわりの支えが大きかったですね。家族も励ましてくれましたし、チームメイトも「待ってる」と言ってくれました。ファンの方々や同じ病気を持っている方からも手紙をたくさんいただいて、それが本当に励みになりました。まわりの人がいたからこそ頑張れたのは間違いないです。
――もし家族や友人など、まわりの人がこの病気になった場合、私たちはどんなサポートができるでしょうか。
安達 個人的には、あまり気を遣われすぎるのも嫌なので、いつも通りに接してくれるほうが有難いですね。病気のことは理解しつつも、ちょっとだけ気にかけてくれるくらいで、あとはいつも通りにしてもらえたらいいんじゃないかなと思います。
――今シーズンから日本炎症性腸疾患協会を支援されますが、支援しようと思ったきっかけを教えてください。
安達 潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患は、最近では子どもの患者さんも増えているみたいなんです。28歳の僕でもつらかったので、子どもたちはもっと負担が大きいと思いますし、子ども以外にも苦しんでいる人はたくさんいます。自分は病気になったことを公表したので、それを機に少しでも何か助けになれたらいいなと思って支援することに決めました。
――支援内容は「出場試合数×1万円」に決めたそうですね。
安達 できる限りたくさん試合に出て頑張っている姿を見てもらって、それが少しでも患者さんたちの力になったらいいなと思っています。試合に出ている姿を見てもらうことが、僕自身にとっても力になります。
――この支援活動を通じて、野球ファンにどんなことを伝えたいですか。
安達 世の中には潰瘍性大腸炎だけではなくいろんな病気があって、その病気と闘っている人、治療を頑張っている人がたくさんいます。だから、自分がかかった病気のことを広めるだけじゃなくて、たくさんの人が苦しんでいる、闘っているという現状を伝えていきたいという気持ちがあります。まわりの人たちが、患者さんの気持ちや状況を少しでも理解してあげられるような世の中になるといいですよね。
――この経験をきっかけに、安達選手の価値観にも変化がありましたか。
安達 今、僕自身のまわりには重い病気を患っている人はいませんが、間接的に「力になってもらえないか」とお声がけいただくことは増えました。プロ野球選手としてできることを求められているのかなと感じています。もし誰かの助けになれるようなことがあればやっていけたらと思っています。