一般社団法人日本プロ野球選手会では今年8月、新たな野球振興事業として「野球・ソフトボール体験会サポートプロジェクト」を始動。その第1弾の試みとして、12月13日に4ヶ所で野球体験会をサポートした。その中のひとつ、神奈川県川崎市の百合ヶ丘小学校で活動する少年野球チーム『百合丘ペッカーズ』には、読売ジャイアンツに所属する大江竜聖投手と岸田行倫捕手の2選手がオンライン質問会を実施した。
本プロジェクトは、選手会の「野球人口減少への危惧」と「子どもたちに野球を選んでもらうために」という想いから始まり、日本マクドナルド株式会社がスポンサーとなり、松田宣浩選手会理事長の強い意向もあって実現。今回、全日本軟式野球連盟と日本ソフトボール協会に登録のある47都道府県の学童チームから12チームを募集した。当初は12球団のプロ野球選手がそれぞれの野球体験会に足を運ぶ予定だったが、新型コロナウイルス感染症が再拡大している現状を鑑み、オンラインに変更。この日、子どもたちから次々と飛び出る質問に大江、岸田両選手が、ひとつひとつ丁寧に答え、大江投手は「やっぱり練習することが一番。ただ単に練習するのではなく、どうやったら自分がうまくなれるのかを考えながら練習することが大事。これからも監督やコーチの話をしっかりと聞いて、頑張ってください」、岸田捕手は「野球は団体競技。チームのみんなと一緒にプレーして、一緒に喜んで欲しい。楽しんでやることが一番なので、野球を楽しんでください」とメッセージを送った。
この日、会場運営に当たった森忠仁選手会事務局長は、「野球人口が減っていることに関して、松田選手会長を始めとして、多くの現役の選手たちも危惧しています。野球だけに限らず、最近は外で遊ぶ子どもが減ってきています。その中でまず、選手会としてできることは何か。現役選手をいろいろな場所に派遣して、そこに子どもたちが集まって、野球人口が増えるキッカケにしたい」と趣旨を説明。
今年に関しては今後もオンラインになるが、12月13日に神奈川県川崎市(横浜DeNAベイスターズの選手が参加)、滋賀県守山市(阪神タイガースの選手が参加)、大阪府吹田市(オリックス・バファローズの選手が参加)で実施。その後、6箇所での野球体験会イベントのサポート(オンライン質問会)を予定している。
「できることからやっていきたい」と森事務局長。来年以降に関しては、「コロナ次第にはなりますけど、やっぱり実際に選手が来て、触れ合えるようにしたいですし、徐々に増やしていければと思います。今回は球団のフランチャイズに近い場所で実施することになりましたけど、そういう場所は各球団さんも野球振興の活動をしていますので、今後、選手会としては野球場から遠くて、普段なかなか野球を身近に感じることができないような場所でも開催できるようになりたい。球団の目の届かないところで活動するのが選手会としての役割だと思います」と語り、「理想は、1年に1回でも、日にちを決めて全国一斉にこの体験会サポートプロジェクトをやりたい」と将来的なプランを明かした。
この日、参加した子どもたちは「プロの選手と話せて良かった」、「これからもっと練習したい!」と大満足。コーチ陣も「子どもたちが嬉しそうで良かったです」、「貴重な体験になったと思います」と感謝するとともに「もっともっとこういう機会を増やしてもらえたら嬉しい。今回はオンラインでしたけど、次回以降は是非、ユニフォームを着た選手たちに実際にお会いしたて、いろいろと教えてもらいたいですね」と“次回”に期待した。
現役のプロ野球選手が自由に動けるのは12月か1月で、1月になると新シーズンに向けた自主トレを開始するため、「時期的には12月がベストですね」と森事務局長。まだ始まったばかりのプロジェクトだが、全国のマクドナルド店舗と連携体制をとっての展開、拡大を模索中。日本プロ野球選手会は、野球への入り口を広げ、野球に触れる機会を増やすことで、日本の野球振興と競技人口の増加、そして将来的な日本プロ野球の発展に繋げる。